睡眠時間と成績

睡眠時間が減っている

 NHK放送文化研究所の国民生活時間調査によると、現代の子供たちの睡眠時間は減少傾向にあり、深刻な睡眠不足が広がっているようです。特に中高生は、スマホ利用の影響で、1970年代と比べて約1時間も睡眠が短くなっているという結果が出ています。
 このような睡眠不足は、どんな問題を引き起こすのでしょうか。

睡眠不足による弊害

 まず、成績への影響が考えられます。文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査の分析結果によると、生活が不規則で、十分な睡眠時間が確保できていない生徒ほど、各教科の平均正答率が低い傾向にあります。
 脳は寝ている間に情報の整理をしています。インプットした情報を分類して、整列させて、脳の中の記憶の棚にきれいにしまってくれているのです。睡眠をきちんととることで記憶力が安定化し、勉強の効率がアップするのです。
 また、睡眠時間の短い子供は、精神的な不安を抱いている人が多いことも指摘されています。国立精神・神経医療研究センターの研究によると、日本の子供(特に中高生)の睡眠時間は世界最短レベルであり、脳内の感情制御を司る「セロトニン」の働きが弱まることで、「意欲の低下」「不安症状」「抑うつ状態」につながっているというのです
 週末は学校がないので、夜ふかししがちであり、朝も遅くまでベッドから出てこない人が多いと思います。小学生からそういう習慣がついてしまっている人も多いかもしれません。ただ、平日の睡眠不足を、休日の寝溜めで解消することは困難です。さらに、休日に遅寝、遅起きになることで、生活リズムのズレが生じます。これを、週末時差ボケとか社会的時差ボケと呼び、週明けに学校に行っても、午前中の授業中に脳が「睡眠モード」のままであるため、集中力や記憶力が著しく低下します。また、ホルモンバランスが崩れ、食欲が増進したり代謝が落ちたりすることで、肥満のリスクが高まることが報告されています。

質の高い睡眠

 中学生や高校生にとって理想的な睡眠時間は、7〜8時間といわれています。もちろん個人差はありますが、最低でも6時間は確保したいところです。ただ、単に長時間寝るだけでは、質の高い睡眠は得られません。次のような習慣を意識してみましょう。

・寝る時間を毎日ほぼ一定にする。
 →脳がその時間を「寝るタイミング」として認識し、入眠しやすくなります。

・朝起きたらすぐに太陽の光を浴びる。
 →脳のスイッチが入り、体内時計が整います。

・寝る1〜2時間前に入浴を済ませる。
 →「深部体温」が下がっていく過程で、自然で深い眠気が訪れます。

・日中に適度な運動を取り入れる。
 →適度な疲れによって睡眠が深くなり、途中で目が覚めにくくなります。

・寝る1時間前にはスマホやタブレットを見ない。
 →ブルーライトが睡眠ホルモンの分泌を止めてしまいます。

規則正しい生活

 よく「寝る時間を削ってでも勉強したい」という声を耳にします。しかし、それは短期的には立派な努力に見えても、長期的にはかえって効率を下げる行動です。一夜漬けで得た知識は、数日後には忘れてしまうことが多いものです。逆に、しっかり休んだ上での勉強は、長く記憶に残ります。また、睡眠不足は心身の健康にも大きな影響を与えます。倦怠感や集中力低下にとどまらず、精神的に不安定になったり、免疫力が落ちて体調を崩したりすることもあります。つまり睡眠を削って勉強することは、勉強がうまくいかなくなるだけでなく、健康そのものを損なうリスクもあるのです。結局、規則正しい生活を送り、計画的に学習をすることが成績向上の一番の近道であると言えるでしょう。